阪和興業株式会社

代表者メッセージ

代表取締役社長
中川 洋一

2022年に代表取締役社長に就任し、今年度で2期目を迎えることとなりました。昨年度は、長引くウクライナ危機、中国のゼロコロナ政策による経済活動の停滞や物流の混乱、世界的なインフレの進行、米中を始めとする貿易摩擦など、商社にとって生命線ともいえるサプライチェーンおよび経済・社会のサステナビリティをおびやかす様々なリスクが顕在化し、「流通のプロ」として安定供給の責務の重さを改めて強く認識させられる一年だったように思います。
2023年度を初年度とする第10次中期経営計画では、第9次中期計画で掲げた基本方針、「サステナビリティ経営の実践」、「経営基盤の強化」、事業戦略の発展」、「投資の収益化」は踏襲しつつ、これまでの様々な「挑戦」を起点に、更なる「飛翔」を目指します。

「経営基盤の強化」については、第9次中期経営計画の期間内に一定水準の利益を上げられる体制は構築できたので、今後は未曾有の事態にも揺らぐことのない足腰の強い会社にすべくバランスシート(BS)の強化、キャッシュ・フロー(CF)の改善に注力していきます。株主還元についても、DOE2.5%を下限とした累進的な配当を基本として、自己株式の取得等による追加の株主還元も柔軟に検討していく方針です。株主の皆様のご支援に応えるべくROE12.0%以上を目標に企業価値を向上させ、安定的な株主還元を実現していきます。

「事業戦略の発展」については、「そこか」戦略を深掘りしてフィールドを広げ、加工の高度化による高付加価値加工品販売事業への転換やアライアンスなどによるソリューション機能の強化を計画しています。海外においても地産地消型ビジネスの市場拡大を当社グループの有力な成長ドライバーと捉え、カーボンニュートラルや脱炭素化などの環境意識の高まりに合わせた対応、ASEAN各国間・各国グループ会社間の海上物流の最適化や効率化の実現を目指していきます。

また、「投資の収益化」については、当社が進めてきた「特徴ある資源投資」が種まきから開花、収穫のフェーズに移行しつつあります。特に今後、成長が期待できるEV向け二次電池原料ビジネスについて、二次電池の川上から川下、リサイクルまでをカバーする横断組織として「電動化グローバルグループ」をシンガポールに設置、EV化で先行する世界の動向をタイムラグなくキャッチし、激化する資源獲得競争にしっかり対応していく態勢を作りました。

こうした事業戦略のベースとなるのが、「サステナビリティ経営の実践」です。2023年1月に当社の重要課題(マテリアリティ)を特定し、その一つに持続可能な循環型社会の形成を掲げています。流通のプロとして、供給責任を果たすことは当然の役割であり、これからは環境や人権に配慮したサプライチェーンの構築という役割を担っていくことが企業価値の向上につながります。社会の持続可能性に広く関与する商社として、社会における自社の存在意義を社員一人一人が改めて強く意識して行動してまいります。

2030年、そしてその先も、お客様に寄り添う「ユーザー系商社」として、ステークホルダーの皆様にご納得、ご満足いただけるよう、企業価値の向上に努めてまいります。今後の成長にご期待いただき、引き続きご指導、ご支援くださいますようお願い申し上げます。