PROJECT

02

Europe

Adhesive Resin
Raw Material
Export Project

PROJECT
PROJECT

欧州向け
接着剤樹脂原料 輸出プロジェクト

未知の市場へ、
はじめての道を。

BACK GROUND

欧州は、化学品の本場だ。化学品を扱う企業が多く、価格面でも品質面でも競争が激しい。だが、うまく入り込むことができたなら、そこには大きな可能性が広がっている。数年前、たった1人の情熱で立ち上がった化学品チーム。そこに若手の長田が加わって、欧州市場を狙った勝負が始まった。

AKIKO NAGATA

AKIKO
OSADA

長田 明子
エネルギー第二部
2019年入社/教養学部 卒

STORY

01

ゼロというチャンス。

発端は6年前。とある社員が化学品に可能性を見出し、チームを立ち上げたことだった。といってもしばらくの間、メンバーはその社員1人きり。やがてそこに長田が加わり、さらに後輩も加わり、ようやくチームらしい所帯になってきた。

ある日、長田は仕入先から相談を受けた。「コロナ禍で、接着剤樹脂原料の販売が思わしくない。売り先を見つけてもらえないだろうか」。その話をもらうずっと以前から、長田は化学品の販路拡大をミッションとしていた。海外へ。さらに言うなら、欧州へ。もちろんハードルは高い。化学品の本場である欧州にとって、わざわざ遠く離れた日本から買い付ける理由は少ない。

だが、化学品の本場ということは、そこに巨大な市場があるということだ。挑む価値はある。なんといっても、ゼロから自分の手で商売を生み出すチャンスではないか。

PROJECT
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STORY

02

世界的危機の直撃。

長田はまず、取引先についての全社データベースをのぞいてみた。商売の幅がとても広い阪和興業では、ある事業にとっての買い先が、また別の事業にとっては売り先になることが珍しくない。ほどなく、有力な候補をピックアップできた。阪和興業が土木関連の資材を買い付けている東欧の企業に需要がありそうだ。さっそく、関連部署を通じてコンタクトを取ってもらう。こういう時に部署の垣根を越えさっと協力し合えるのも、阪和興業の強さ。

いざ英語でのWEB会議に臨んでみると、先方のリアクションは悪くなかった。「他社から仕入れた原料の質が低く、失敗してしまった。高品質な日本製には興味がある」。これはいけるかもしれない。しかし、間髪を入れずに難題を突きつけられた。ずばり、価格だ。

新型コロナウイルスの世界的な流行拡大によって、化学品全般の需要が急激に落ち込んでいた。当然、市場には在庫があふれ、値崩れが起きている。その状況に合わせて、価格を下げてほしい……それが、先方の率直な要望だった。

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03

下げるものか。

「大切なのは、まず商売をつくることじゃないか。赤字にならなければ、ギリギリまで下げてもいい」。上司からはそんな助言もあった。しかし、当の長田にそのつもりはまったくなかった。品質には自信がある。価格を落とさなくても、きっと商売はできるはずだ。長田はもともと、激しく数字にこだわってきた。数字こそが、期待に応えたことの明確な証だからだ。「売り先を見つけてほしい」と最初に相談してきた仕入先に、値下げを頼み込むこともできたかもしれない。だが、長田はその手も取らなかった。

なぜ、この価格なのか。その正当性を、連日の英文メールやWEB会議でロジカルに訴えつづけた。もともと東欧のビジネスパーソンは、情に厚いといわれている。直接会って交渉したならすんなり頷いてくれた可能性もあるが、コロナ禍ではそれが許されない。今はただ、説得力のある根拠を積み重ねていくしかない。加えて、丁寧な対応にも心を砕いた。たとえば、時差があってもメールには10分以内に返信すること。そんな姿勢も含めて、品質と受け取ってもらいたい。

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04

個を大切にする。
それが組織を強くする。

2020年、晩秋。長田が送り出した原料が、ついに海を渡った。そう。めでたく交渉は実ったのだ。

その原料の輸出は、阪和興業にとって初。欧州への輸出は、チームにとって初。初めて尽くしの快挙を、長田は入社2年目で実現してみせた。持ち前の粘り強さと英語力を、阪和興業という舞台で思う存分、発揮することによって。

チームの先輩にはもちろんバックアップを受け、社内のネットワークにも助けられての成果であることは間違いない。それでも、「自分の力で」やり遂げたのだという手応えが長田にとっては大きい。それは決して、長田が一匹狼であることを意味しない。「私の成長は、チームの成長に直結します。だからこそ、組織を強くするために、何よりも個を大切にする。それが阪和のよさだと私は思います」。

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