PROJECT

01

Japan

Aoyama Complex
Construction
Project

PROJECT
PROJECT

日本
青山複合ビルプロジェクト

「ものいう商社」が
動かした、
高難度のビル建設。

BACK GROUND

創業以来の基幹事業であり、売上高の50%を占める鉄鋼事業。その中でも「鉄構営業」は、鉄骨や壁、屋根といった、建築物の主要な構成部分を手がけている。受注から工事完了までの期間は、平均すれば1年から1年半ほど。しかし、青山に建つそのビルは違った。異例の条件が重なったことから、見込みは約3年。のちに、その見込みさえ甘かったことが判明する難物件だった。

KIO OMORI

KIO
OMORI

大森 希生
鉄構営業部
2016年入社/工学部 卒

STORY

01

「青山」という高い山。

大森がこれまでに手がけてきたのは、主に物流倉庫だ。今の日本には欠かせない重要な建築物だが、重視されるのは見た目よりも機能性。「たまには、デザインが注目されるような建物も経験したい」。そう思っていた矢先、得意先であるゼネコンから相談があった。「青山に建設予定のビルがあり、その入札に参加する。一緒にやってくれないか」。

青山といえば洗練された大人の街だ。そこに建つビルとなれば、お洒落なのはあたりまえ。人通りが多く、さらにテナントがいくつも入るとあって、一般的な注目も集めるだろう。ただしそれは、難しさの裏返しでもある。デザインにこだわった建物は実現するのが難しい。人通りがあるということは、工事にさまざまな制限がかかる。テナントが多いほど、寄せられるリクエストも増える。

この高難易度のプロジェクトを、できるだけコストを抑えて勝ち取りたい……それがゼネコンの意向だった。タフな仕事になることは見えている。だが、懇意にしているゼネコンからのお願いであるなら、なんとかして協力したい。

PROJECT

STORY

02

資材がない。時間もない。

コストを切り詰めた甲斐もあって、ゼネコンは無事に落札を果たした。大森も喜んだ。しかし、阪和興業における仕事の常識は「ホッとできるのは『受注した時』と『終わった時』。その間はハードルの連続」。もちろん、今回も例外ではなかった。

もともとわかっていたのは予算がないこと。ただその厳しさが、時間とともに増していった。建築業界全体が超多忙だったためだ。大型のスポーツイベントを始めとするプロジェクトが重なり、資材不足に陥りかけていた。当然のことながら、残り少ない資材の価格は高騰する。施工開始を待つ間にもじわじわと上がっていく。その影響をまともに受ける当事者として、大森は気が気ではない。

さらなる大問題はスケジュールだった。もともとギリギリに組まれていたのだが、建設計画が具体的になるにつれ、ゼネコン側の見込み違いがあちこちで露呈した。改めて計算してみると、竣工がざっと3か月は余計にかかる。当初のスケジュールとここまで食い違うと、テナントへの補償問題にも発展しかねない。うちでなにか、できることはないか。

PROJECT

STORY

03

動いてもらうために、
まず自分が動く。

阪和興業は、「ものいう商社」だ。遅れの理由がゼネコン側にあるなら、たとえ上得意先でも強く迫る。それが大切な役割のひとつだと自覚しているからだ。そうして心を鬼にしてゼネコンを急かしたことで遅れを最小限に留め、最後に感謝されたことは何度もある。

今回も大森は、その責任を存分に果たした。たとえばゼネコン側の仕様決定が遅れ、工場に対する資材加工の発注ができない時。大森は、工場の担当者をゼネコンとのミーティングに引っ張り出した。担当者の困り果てた表情によって、ゼネコン側に危機感を持ってもらおうという狙いだ。一方で、工場側にもスケジュールの調整を頼み込んだり、ほかの現場のために押さえてあった資材を融通したり、できる努力は全部した。ゼネコンに行動を迫るからには、まず自分も行動しなければ。

その成果は目覚ましかった。担当する鉄骨工事は遅れゼロ。全体としても、3か月と予想された遅れを1か月半に押さえ込むことができたのだ。「阪和さんに頼んでよかった」。実感のたっぷりこもった、ゼネコンの言葉が嬉しかった。

PROJECT
PROJECT

STORY

04

「何とかしてしまう」強さ。

商業施設が無事にオープンした後、大森はそのビルを訪れてみた。やはり青山という立地にふさわしく、デザイン性が際立っている。難しかったのも当然だ。ただその頃には、プロジェクトは大森にとって過去の話になりかけていた。鉄骨工事は、建設全体のプロセスでいえば前半戦のさらに前半だからだ。

色褪せていないのは、ゼネコンや協力会社との関係性だ。ゼネコンとは今もさまざまなプロジェクトを進めており、その売上高は事業部全体の実に半分を占める。また、青山のプロジェクトをきっかけに仲よくなった協力会社にも、引き続き支えてもらっている。

どんなプロジェクトにも、難題は付き物。それでも「何とかしてしまう」のが阪和興業の強さ。その強さは、立場の異なるゼネコンとも協力会社とも歩幅を合わせることができ、時にお尻を叩いてもちゃんと受け止めてもらえる関係性を築いていけるところにあるのかもしれない。

PROJECT