Interview社員インタビュー
好奇心と信頼をきっかけに。
部署を超えた「チーム阪和」で、
投資プロジェクトに挑む

早乙女 良貴SAOTOME Yoshiki
2019年の入社以来、プライマリーメタル第一課に所属。半導体やアルミニウム合金などの原材料に使用される金属シリコンのトレーディングを主に担当するが、最近ではマレーシアでの事業投資プロジェクトにも参画し、活躍の幅を広げている。

「グローバル」×「商社」で就活。
日本の半導体産業を支える部署へ
就活のとき、実は阪和には説明会すら行ってなくて、ネットの情報だけでいきなり面接を受けに行きました。「世の中に貢献したい」みたいな大きな信念はなかったけど、「グローバルに働く」「商社」ということだけは決めていました。就活中にいろんな人から話を聞いて、商社ほどグローバルに働ける業界はないと思えたので、商社に的を絞ったんです。ただ他の商社が第一志望だったし、正直、阪和は数ある候補の一つに過ぎないと思っていたんですよ。阪和といえば鉄鋼の専門商社として知られていますが、海外に関わることのできる可能性が圧倒的に高いのはメタルやエネルギーだと思っていたので、そこは面接でも希望を伝えていました。
世界への興味が広がったのは、学生時代のカナダ留学がきっかけです。いろんな国でいろんな経験をしたい。仕事では旅行で選ばないような国や場所に行けるし、世界を飛び回って仕事することがシンプルにカッコいいと思ったんです。
配属されたのは、プライマリーメタルという鉱山から採掘精錬された金属原料を扱う部署。入社前は体育会系だろうなと思ってたんですが、僕の部署はスマートというかドライというか、落ち着いてました。「新人、一発芸やれ!」みたいなイメージを持っていたので、意外でしたね(笑)。阪和は部署や人の個性がそのまま生きている感じがいいなと思います。
僕が扱っている金属シリコンという商材は多種多様な用途がありますが、特に半導体の原材料として広く利用されています。近年、日本の半導体産業は海外企業に遅れを取っている状況です。そこで経産省が、半導体の原材料となる重要鉱物のサプライチェーン構築の推進を打ち出すなど、巻き返しの動きが出てきました。金属シリコンはその重要鉱物に含まれているため、国内半導体産業への活性化に寄与できるという点でも意義のある仕事です。入社以来トレーディングを中心に担当していましたが、5年目で海外企業への事業投資に初めて参画することになりました。

部署初の事業投資プロジェクト。
「チーム阪和」で一丸となって
マレーシアにある金属シリコンの精錬会社への出資と、その金属シリコンを加工するための合弁会社を日系メーカーと組んで設立するという、2つの投資プロジェクトに携わり、足掛け1年、ようやく本出資までこぎつけました。
金属シリコンは、精錬後、例えば半導体メーカー向けには塊からパウダー状にするなどの加工が必要です。精錬から加工、納入までを現地で一貫して完結できる流れを構築すれば、納期やコスト、品質のメリットが生まれます。また出資先の精錬会社では水力発電を使用しているので、カーボンニュートラル認証の取得などによる強い競争力を得ることができます。新しいことが好きな性分なので、これまでに経験したことのない大型のプロジェクトに参画できるのはワクワクしましたね。
……といっても、いざ始まるとどうやって進めたらいいのか全く分からない。このプロジェクトのメンバーは僕以外に、部長と課長、マレーシアに駐在している先輩の計4人。出資先や合弁相手先との条件交渉、契約書の作成はもちろん、合弁工場の建設会社や設備会社との調整も全部自分たちでやっていくという、本当にゼロからのスタートでした。投資を実行するには広範かつ専門的な知見が必要なので、それまであまり関わったことのなかった法務や財務、経営企画部などのコーポレート部門のスペシャリストたちに力を借りて、一つずつ課題を突破していきました。
特に難しかったのが、関係者同士の利害調整です。僕らは出資をする以上、そこで精錬される金属シリコンの総代理店になりたいし、なるべく安く買いたい。でもその精錬会社からすると阪和以外にも既存の商流があるし、高く売りたい。合弁会社の設立も同様に、出資比率や、投資資金の回収期間、組織体制など、関係者間で決めるべき事柄が多岐にわたります。このすり合わせがとても難しくて、上司や先輩と一緒に条件を練っては、マレーシアまで足を運んで相手と交渉し、合わなかった点を何度も何度も修正しました。
そしてついに合意に至り、無事に本出資を実行することができました。上司や先輩、さまざまな部署の方々と力を合わせて、チーム阪和として高い壁を乗り越えることができたのは、ものすごく達成感がありましたね。ただしこれはゴールじゃなくて、あくまでスタートに過ぎません。これからが本番です。

好奇心と地道な供給で、
信頼関係を築き上げた
このプロジェクトに個人的な思い入れがあるのは、一緒に合弁会社を立ち上げることになったパートナーが自分で開拓したお客様だったからです
我々は商社なので、販売には長けていても原料の加工についてはノウハウを持っていません。つまり、プロジェクトを進めるためには、加工技術を持ったパートナーとの協業が不可欠でした。合弁会社のパートナー探しが難航する中、お取引を新しく開始していたお客様を思い出し、この事業を成立させるにはその会社さんにパートナーになってもらうしかない!と考えました。事業計画はもちろん、阪和としてのビジョンやこの事業にかける思いを伝えたところ、最終的に「是非やりましょう」と言っていただきました。
まだお取引を開始して1年程度で取引額も大きくはなかったのに、なぜ提案に乗ってくれたのか。それはきっと、信頼関係が築けていたからだと思います。
お取引が始まってから、お客様が必要としているものは何でも供給してきました。発注されたものをただ納めるのではなく、お客様が本当に必要としているものは何なのか、好奇心を持って観察するんです。例えば工場に行ったとき、見たことのない原料を見つけたら「これ、何ですか?」って聞いてみる。目が届くか、その一言が出るか、が大事だと思います。それをきっかけに始まるのは、言ってみればただの雑談です。だけど雑談の中にこそ、次の商売の種が落ちています。最近もある原料で困っているという話を聞いて、もともと僕らの扱っていない商材でしたが、東南アジアで仕入れ先を開拓して、サンプルの提供を始めました。未知の商材を扱うには、商材の知識はもちろん、仕入れ先の商習慣や法律、貿易上のリスクなども知る必要があり、簡単なことではない。今回合弁のパートナーになってくれたのは、そういった僕たちの動きを見てくれていたんだと思います。
僕、あまり仕事のモットーとか考えてないんですが、この出来事を機に、ビジネスにおいて大切なことが何なのか分かった気がしました。大きな受注を狙うのもいいし、事業投資のように言葉の響きがカッコいい仕事に憧れるのもいい。だけどそれを成功させるには目の前のお客様からの信頼を得ることが何より大事で、そのためには好奇心を持ってお客様のことを見て、必要なものをコツコツと届ける、という地道な行動を続けるしかない。日々の積み重ねが思いがけない展開に繋がる、それが面白いよなって。もちろん先人たちが築き上げてきた阪和のビジネス基盤があったからこそですが、僕もそのバトンを受け取ってさらに飛躍させることができたかな、と思えましたね。

自由に動けるのが阪和の魅力。
いつか、先輩の想像を超える結果を出したい
阪和は独立系商社だから裁量が大きいし、自由度が高い。だけど一方で後ろ盾もありません。それゆえに待っていても仕事はやってこないので、常に自分たちで仕事を生み出していかなければならない。僕らはまだまだ発展途上だし、抱えている事業も多くはありません。でもだからこそ、自由に動ける。それが独立系の難しさであり、面白さでもあると思いますね。
頭の良さや言語能力も重要ですが、とりあえずやってみる精神。保守的にならずに、小さくてもいいから好奇心を持ち続けたいですね。
僕は会社への帰属意識が低いタイプだと思っているんですが、それは別に会社が嫌いとかじゃなくて、会社とはそのくらいの距離感がちょうどいいと思うんです。 もちろん阪和に来てよかったと思うこともありますよ。いい意味で、余計なプライドが削ぎ落とされましたね。1年目の頃、阪和が第一志望じゃなかったのもあって、正直ちょっと甘く見てるところがあったんですよ。でも入ってみたらみんなバリバリ仕事してて、当時の指導員もすごく仕事のできる人だったので、何も通用しなくて心が折れそうになりました(笑)。
その指導員こそが、マレーシアの投資プロジェクトを現地駐在員として最前線で動かしてくれた先輩なんです。今はすごく仲が良いけれど、当時はいろいろ厳しく言われて、内心では「いつか認めさせてやる」って思いながら仕事してました(笑)。
阪和はメタル領域では後発なので、まだ鉄鋼領域のようなネームバリューはありません。看板で商売ができないのがコンプレックスというか、悔しさを感じることも多い。だから、自分の力で阪和の認知度を上げるような結果を出したいですね。今は立ち上がったばかりの投資プロジェクトを軌道に乗せることが目標ですが、将来的には、合弁会社や現地法人などへの出向を通じて経営にも携わってみたい。会社に在籍しながら自分が立ち上げた事業会社の経営に携わるって、どこの会社でもできる経験ではないじゃないですか。阪和の名前がどこに行っても通じるくらいにビジネスを育てたいですね。
